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2024年4月9日

アクセラレーションプログラム未来X(mirai cross)2024 最終審査会 受賞者インタビュー Cordia Directions (Peach Tech Ltd.)

アクセラレーションプログラム未来X(mirai cross)2024最終審査会、ウェルビーイング部門は株式会社Cordia Directions(PeachTech Ltd.)が受賞。
未来X(mirai cross)事務局より、CEOである加賀野井様にオンラインにて、受賞者インタビューを行いました。
受賞企業 株式会社Cordia Directions (Peach Tech Ltd.)
事業概要 サブサハラアフリカにおける付加価値型中古車売買マーケットプレースの展開

―改めまして、未来X(mirai cross)賞の受賞、おめでとうございます!
まず、受賞の感想をお聞かせいただけますか。

実は自分は、初めから起業したいとは思っていなかったのですが、参画したいスタートアップがないなら自分で作ろうと思って。当初は目の前の事業の立ち上げに全振りしましたが、ようやく余裕が出てきたので、初めてピッチコンテストに参加しました。
私の会社はケニアを拠点に活動していますが、未来X(mirai cross)での受賞をきっかけに、今後は日本での知名度も高くしていきたいです。

―まずはご自身のキャリアについて、お聞かせいただけますか。

外資系コンサルティング会社で日本の民間企業向けの業務に3年半ほど従事したのち、海外のMBA留学(INSEAD)を経て、パレスチナを拠点とした国際機関への出向、ケニアをはじめとするアフリカ5カ国にて公共セクターのプロジェクトをコンサルタントとして担当しました。
私は幼少期フランスで過ごしたこともあり、いずれグローバルに働くことになるだろうと思っていました。学生時代のアフリカ縦断旅行中、もちろんケニアも通りましたが、その時は「アフリカ大陸でビジネスをやるのは、少し早い」という印象を抱きました。
ところが、その5年後、海外MBA留学中に再度ケニアを訪れた際、自分が大学生時代に見た国と同じ国とは思えないくらい経済的に発展していたことに衝撃を受けました。いまここでビジネスをやったら絶対面白い、自分が日本にいるよりも出せる付加価値が大きいのではないかと思って、ケニアに移ることを決めました。
ケニアに移住して、2年ほどが経つタイミングで、よりインパクトが有り、オペレーションに近い仕事がしたいと思い、コンサルタントをやめてアフリカ発の既存のスタートアップに参画しました。
ケニアとナイジェリアの事業の立ち上げの責任者を務めていたのですが、翌年にはコロナ禍の影響もあり、会社を取り巻く環境が大きく変わり、新しい国・都市での事業の立ち上げを継続できなくなったこともあり、参画していたスタートアップから離れることに決めました。

―どういった経緯で現在の会社を起業されたのでしょうか?

実は、自分で会社を立ち上げる予定はなかったのですが、次にどうするか何も決めずに会社を辞めたので、どこの会社で働こうか考えあぐねていたところ、旧知のメンターから「良い機会だし、少し時間を取って ゆっくり考えてみたら?何かやりたいんだったら、後押しするよ。」と勇気づけられる言葉を貰いました。この時初めて「入りたい会社がないなら、自分で作るのもありだな」という想いが強く湧いてきました。
でも、いったいどんな会社を立ち上げよう…。考えをまとめる中、自分がアフリカで中古の冷蔵庫を買おうとしたら、詐欺にあったことを思い出すのと同時に、周りの友人たちも同様の悩みを抱えていたことに思い至りました。アフリカのような発展途上にある地域では、耐用年数の長い高額製品は中古品でも需要があるはずなのに、“信用”が低すぎてビジネスが成立しづらいといった課題があります。そして中古品を正しく、円滑に回すことができれば、現地の経済の発展にも、個人のより豊かな生活にも資することができます。そこに目を付けた後は、どういう商材を扱えば事業として成り立つかを検討し、自分がモビリティに興味があったこともあって「中古車」を中心とした現在のビジネスモデルが出来上がっていきました。

―普段は海外で活動されているとのこと。
どのような経緯で、未来X(mirai cross)にご参加いただいたのでしょうか。

2年程前から未来X(mirai cross)の存在自体は知り合いのスタートアップが参画し、受賞されていたこともあって知っていました。
私は、いわゆるピッチコンテストに出たことがありませんでした。多くのスタートアップがそうだと思いますが、設立初期は目の前の事業を立ち上げることに全振りしていて、他にリソースを割くのが勿体ない…と考えていました。
当社の場合、おかげさまで2022年に資金調達がひと段落し、資金面にもようやく余裕ができました。そのおかげで、目先の利益のみならず、その先を見据えた活動にも手が出るようになってきた中、既存の投資家の勧めもあって今年度参加を決めました。
もう少し言えば、実は創業以来に取引している国内銀行は他行であるため、通常は取引のない銀行・ファイナンスグループと繋がる機会を幅広く持ちたかった他、当社は海外がメインのビジネス拠点のため、日本国内で多くの人にアプローチする形でPRする機会をほぼ持ってこなかったことから、未来X(mirai cross)のアクセラレーションプログラムに参加することで、弊社を知ってもらうよい機会になればと思い、参加しました。

―ご参加いただいたプログラム全般を通して、ご感想をお聞かせください。

スタートアップのPR資料であるXIS(クロスイノベーションシート※)を用意するにあたって、作成過程で三井住友銀行本店の方から「うちの行員が、XISを取引先に持っていくことを想定したとき、書き方が変わるのでは?」とご意見いただき、限られた文字数で紙面の中に落とし込む作業は、今までと視点が違い面白かったです。
研修は「プレゼン研修」が一番新鮮でした。コンサル時代に多くのプレゼンこそしたものの、コンサルタントとして理想的なプレゼンと、ファウンダーとしての理想的なピッチは、全然違うのだと。当社の場合は、「ケニアの市場を理解してもらい」、「なぜそれがイシューなのか」を短い時間で伝えていくことが求められていて、誰がオーディエンスで、聞き手に興味を持ってもらうためにどう振舞えば良いのか、そういった工夫を学べたのは良かったです。
最終審査会当日は、発表時間5分でキッチリ伝えられるよう、できる限りシンプルに説明することを心掛けつつ楽しみました。質疑応答でも、審査員の方々から興味深く、かつ鋭い質問をいただき、踏み込んだ話ができましたし、当日はスタートアップ毎にブースの用意があったので、ピッチ後にご興味を持っていただいた方にも直接お声がけいただきました。また、既存投資家含めた知り合いの方が数多く会場にいらっしゃり、中にはオンラインでしかお目にかかったことのない方もいらしたので、リアルの場でご挨拶できたのは嬉しかったです。

―最後に一言、お願いいたします。

未来X(mirai cross)の利点は、様々なスキルを学び実践する機会とネットワークづくりだと思います。
また弊社の場合は最優秀賞をいただけましたので、日本側での知名度があがったと思います。この受賞をきっかけに、次の資金調達に向かって動き出したいですし、知名度を上げることでより良い人も採用していきたいですね。

※XIS(X Innovation Sheet /クロスイノベーションシート)…スタートアップの「事業概要(強み)」・「どういう業種との連携を希望しているか」そして「その業種にとってどのような効果が期待出来るのか」を1枚に纏めて作成したもの。当シートの狙いは、事業会社の皆さまと登壇するスタートアップとの共創推進が、効率的且つ効果的に数多く進展し、オープンイノベーションが活性化することを企図している。

主催
SMBC三井住友銀行
SMBCベンチャーキャピタル SMBC日興証券
共同運営
みらいワークス