アクセラレーションプログラム未来X(mirai cross)2024最終審査会、サステナビリティー部門最優秀賞を受賞された株式会社yuni代表取締役社長の内橋様に、三井住友銀行本店にて事務局よりインタビューを行いました。
「第一人者になるには何をすれば良いのか考える中で、実家の工場での経験と情報工学の掛合わせに鍵があることに気づき、現在のサービスが出来上がりました。未来X(mirai cross)のイベントを通じて、より多くの企業に名前と取り組みを知ってもらったことで、参加する前後で比較すると事業が進捗したと思います。」
そう語るのは、代表取締役社長である内橋様。
受賞企業 | 株式会社yuni |
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事業概要 | メカニカルリサイクルを利用した寝具等の廃棄物循環システム及び新素材の開発 |
インタビュー | 代表取締役社長 内橋堅志様 |
―未来X(mirai cross)賞の受賞、おめでとうございます。あらためまして、まずはご自身のキャリアについて、お聞かせいただけますか。
私は大学で機械学習を選考していたので、2017年に新卒で入った会社でデータサイエンティストになりました。友人の会社の手伝いを経て、フリーランスになってからも、いくつかの企業から受託していましたが、色々な仕事をこなす中で「自分にしかできない仕事がしたい」と思うようになりました。
第一人者になるには何をすれば良いのか考える中で、実家の工場での経験と情報工学の掛合わせに鍵があることに気づきました。実は私の実家は寝具メーカーで、寝具の生産・在庫管理等に係る課題はいくつかあるのですが、実家手伝いをしていた高校生時代の自分にとって「まだ使える寝具が廃棄されるのは勿体ない」と肌身をもって感じていたのは、大きな原体験でしたね。具体的にどういうサービスを展開していくかは、まだ考えが煮詰まっていなかったのですが、廃棄物にかかる社会的課題を解決していく会社なら自分の強みを活かせるに違いないという想いで、起業しました。
―どういった経緯で現在のサービスを開始されたのでしょうか?
寝具を破棄するのは勿体ないとは言え、他人の使った寝具を使うことに抵抗がある方が多いのは事実です。まずはベータ版として、寝具を分解して「コイル」と「ウレタンなど機能性部分」に分けて、劣化しやすい機能性部分のみを回収しリサイクルできるマットレスを作ることから始めましたが、サービスを展開しながらアパレルといった異業種のリサイクル事情等も調べるようになる中で、再生素材の有用性に着目しました。
無論、実家での経験から寝具はポリエステル等の素材が混ざると再生が困難なことや、コスパが悪いといった事情は理解していましたが、オリジナルの機械を作ることでそれを乗り越えられないかなと。そして現在の当社のsusteb(サステブ)という、不要な寝具を回収して再生素材へと変えていくサービスが誕生しました。
―どのような経緯で、未来X(mirai cross)にご参加いただいたのでしょうか。
三井住友銀行の行員の方経由でご紹介いただいたためです。実は前回のアクセラレーションプログラム未来X(mirai cross)の募集時にもお声がけいただいたものの参加を見送っていましたが、今年またご連絡くださったので、では受けてみようかなと思った次第です。
一方で自分は、国内に複数工場を構えている都合上、毎週工場と行き来しながら業務にあたっているため、新幹線の移動中にオンラインで研修参加するパターンが多かったですね。参加した研修の中では、「法務」研修がもう一度参加したいくらい盛り上がりましたね。投資契約書を読み進めるのですが、参加者みんなでツッコミを入れていくような研修でした。また「チームビルディング・人事・組織」の研修は、自分が課題意識を感じていたところだったので、印象に残りました。
スタートアップを運営する中で、資金調達といったお金回りの検討や、工場を作るための場所探しと、色々と苦労がありましたが、やはりスタートアップといえど、人を雇った瞬間に組織になるので勉強になりました。
―最終審査会のご感想をお聞かせください。
私は最終審査会に選ばれた31社の中で最初に登壇しましたが、出番を終えたあとは会場で他社のピッチを聞いていました。純粋に面白いというのもありますが、一見まったく関係のないような他社であっても、ビジネスを進める考え方を通じて、ヒントを得られるケースがあるためです。例えば私の会社では、フランチャイズのような形態で工場を建てていますが、ピッチをされていた他社でライセンス販売を手がけているような会社には興味を持ちましたし、他方私は材料開発における知的財産のシェアがポイントと感じますが、研究関連の知財を扱っている会社の発表も、聞いていて面白かったですね。
なお、他社のピッチの間をぬって自分のブースに顔を出していましたが、来場者の方が数名ブースにお越しくださり、商談に発展しました。
―最後に一言、お願いいたします。
私は未来X(mirai cross)に参加する前から、三井住友銀行の方と連携して事業を進めてきており、実際に自治体をおつなぎいただいて事業に繋がったケースもあります。
今回、アクセラレーションプログラム未来X(mirai cross)に出ることで、より多くの企業に名前と取り組みを知ってもらい、ネットワークが拡がったことで、参加する前と後で比較すると事業が進捗したと思いました。ありがとうございました。